皮脂の分泌が活発になる思春期は、ニキビに悩む中学生や高校生も多いもの。そんなニキビの原因から、スキンケア方法、正しい治し方まで、皮膚科医が徹底解説!
思春期は誰でもニキビができやすい
ホルモンバランスの影響で皮脂の分泌が増える思春期。誰でもニキビができやすい時期ではあるけれど、その仕組みは?
ニキビはなぜできるの?
「簡単に言うと①毛穴が詰まる ②毛穴に皮脂がたまる ③ニキビ菌が増殖して毛穴に炎症がおこる、という3ステップでニキビはできます。毛穴には、皮膚を分泌する皮脂腺があり、皮脂は毛穴をつたって皮膚の表面に分泌されます。しかし、毛穴が詰まると、毛穴に皮脂がたまってしまい、そこにニキビ菌が繁殖し、炎症を起こしてしまう。この状態がいわゆる“ニキビ”の状態です」
ニキビができやすいのはおでこや頬だけじゃない!
「思春期になって初めてニキビができる場所は額が多いと言われています。一般的には、あごより、額や鼻などいわゆるTゾーンを中心にニキビができることが多いです」
速攻で治したいニキビ。簡単にすぐできる治し方はある?
気になるニキビを一刻も早く治したい!と思うのは当然のこと。“NGニキビケア”をチェックすると同時に、正しい治し方を知ろう。
ともかく清潔に、洗顔はやればやるほどいい?
「過度な洗顔は乾燥を招き、かえってニキビなどのトラブルの原因となるのでNG。朝と夜の1日2回を基本に、運動後などたくさん汗をかいた後は洗顔してもOK。洗顔料をしっかり泡立てて優しく洗い、流すときは髪の生え際、あごに洗顔料が残らないように気を付けましょう」
歯磨き粉で治るって本当?
「“乾燥させると治る”という噂があるそうですが、ニキビは乾燥させると悪化します。逆効果になるので絶対にやめてください!」
「オロナイン」が効くって聞いたけど本当?
「“殺菌効果のある薬ならなんでもニキビに効く”というわけではありません。ニキビに効く薬を適切に使うことが大切なので『オロナインが効く』とは言えないです」
つまんで潰して、芯を出せばすぐ治る?
「いわゆる芯や膿を自分で押し出すことは絶対にやめましょう。跡になったり、余計膿んでしまいます。皮膚科では、専用の器具で膿を出すことができます」
おすすめの治し方は、やっぱり安心&確実な、皮膚科に通院すること。「ニキビを“毛穴の病気”と考えて。“病気は病院で直す”が基本です。ニキビを早く治す近道は皮膚科に行くこと、きちんと通い続けること」
ニキビの初期段階「白ニキビ」の治し方
「毛穴に皮脂やニキビ菌、角質が溜まった状態を面皰(めんぽう)といいます。この面皰の毛穴が閉まり白く盛り上がったように見えるいる状態がいわゆる『白ニキビ』です。塗り薬を処方したり、専用の器具で押し出す治療があります」
皮脂が酸化した「黒ニキビ」の治し方
「面皰の毛穴が開いて中の酸化した皮脂が黒い塊のように見える状態が、いわゆる『黒ニキビ』です。こちらも塗り薬を処方したり、専用の器具で押し出して治療します」
炎症を起こした「赤ニキビ」の治し方
「面皰に炎症が加わり赤みのある状態が『赤ニキビ』です。塗り薬のほか、程度によっては内服薬を処方することもあります」
膿んでしまった「黄ニキビ」の治し方
「赤ニキビの炎症がさらに進み膿んでしまった状態が『黄ニキビ』です。塗り薬、内服薬のほか、膿が溜まっている場合は専用の器具で押し出します」
ニキビ跡、残った赤みやしこり、色素沈着はどう治す?
ニキビ跡はクリニックやセルフで改善することができるそう。「ニキビ跡はの治療はできますが、やはりコストも時間もかかるもの。何より、ニキビのできはじめの早めの治療が大事であることは忘れないで」
■赤み
「自宅でできる治療としては、ビタミンCの美容液を使うこと。クリニックではフォトフェイシャル等で治療します」(
■しこり
「しこりとなって残ってしまった場合、クリニックでは注射で小さくすることができます」
■色素沈着
「塗り薬で治療したり、クリニックではフォトフェイシャルなどを使って肌トーンを均一にします」
しっかり守って美肌に! ニキビ予防の6大原則
ニキビを防ぐために気を付けたい生活習慣をASK!
【原則 1】食生活を見直す
「ニキビに悪い特定の食べ物はありません。ただ、急激に血糖が上がるお菓子類などの高GI食品、牛乳はニキビが悪化する可能性があると言われています(ただしチーズ、ヨーグルトはニキビを悪化させる可能性は高くない)。いちばん大切なのは自分にとって『これを食べると悪化する』という食べ物を避けることです」
【原則 2】十分な睡眠をとる
「睡眠とニキビの関係は解明されていません。ただストレスにつながらないように、充分な睡眠時間は維持しましょう」
【原則 3】ストレスをためない
「ストレスでニキビが悪化する方もいます。ストレスを完全になくすのは難しくても、コントロールすることが大事。①緊張していると思ったら、やや上を向いてゆっくり息を吐き、吐き終わったら頭の中で3秒数える ②頑張り過ぎない、全部完璧にこなすのではなく優先順位をつける、などの方法でストレスをコントロールしてみて」
【原則 4】自己流の治療をしない
「市販薬や化粧品で治らず、ニキビ跡になるひとが多いです。自己流治療はやめて皮膚科で治療をしましょう」
【原則 5】顔を触らない
「無意識であっても人は1日に何回も顔に触ってしまうものです。ニキビの刺激になってしまうので、顔を触らないよう心がけて」
【原則 6】マスクとうまく付き合う
「最近、マスクによるニキビも増えています。朝の洗顔後、ノンコメドジェニック(ニキビのもとになりにくい処方)の保湿剤で皮膚をしっかり保護して。マスクでカバーされてメイクが必ずしも必要ないのであれば、ノーメイクで過ごすとよいでしょう。また、屋外で他の人と十分な距離が保てている時や、家の中など、マスクが必要無いときはマスクを外して過ごすとグッド」